日時 | 令和 6年 2月 20日(火) 13:00~17:10 |
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場所 | ホテルクラウンパレス浜松 |
オンライン | YouTubeLive |
主催 | 浜松市、浜松ウエルネス・ラボ |
来場者数 |
会場:150名、オンライン:約200名 |
主催者挨拶 | 浜松市長 中野 祐介 |
第一部 地方自治体・専門家の 皆さまを中心に |
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第二部 市民・県民・国民の 皆さまを中心に |
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第三部 特別講演 |
新型コロナウイルス感染症これまでとこれから 公益財団法人結核予防会 理事長 尾身茂 氏 |
「予防・健幸都市浜松の挑戦 」セミナーのポイント
- 内閣感染症危機管理統括庁は、2023年に発足。コロナ対応の経験を踏まえ、国民の生活・経済に重大な影響を及ぼす恐れのある感染症に対しては、統括庁が司令塔な役割を果たす。統括庁が対象とする感染症は、今回の新型コロナや新型インフルエンザなど数年から数十年に一度起こると予想されるパンデミックを引きこ起こすものや1類感染症と言われる致死率の高いもの、薬剤耐性菌などと想定されている。
- 政府は、今回の新型コロナ対策を踏まえ、新たな感染症への準備や対策を万全にする狙いで「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定を行う。今年5~6月に案が取りまとめられ、夏ごろに閣議決定される予定だ。
- 今回、行政の力によって、新型コロナ治療薬「ゾコーバ」の治験に貢献することができたが、なかなか日本では、治験参加者が集まらないという実態がある。治験の枠組みを早期に国内で構築し、政府で承認する仕組みを日ごろから実施しておかねば、有事のときだけ「やれ」と言われても実行はなかなか難しい。今後、わが国で治験を医療リテラシーの中に入れて、国民全体で実施する姿勢が求められている。
- 世界中のほとんどの製薬会社が、感染症対策分野から撤退し、取り組んでいる企業はごくわずかになっている。今回の新型コロナの創薬事業を通じて、欧米の感染症の流行予測、下水疫学や空港の水際対策がすさまじく進んでいることが分かった。日本でも流行予測から予防、診断、治療などを一貫して行うTest to Testの体制をいかに構築していくかが重要だ。
- 今回の新型コロナ対応では、さまざまな問題もあったが、従来に比べて行政・民間・市民などの協働や支援・受援体制の推進、情報通信技術の活用はコロナ前に比べると格段に進歩したと言える。
- 新型コロナウイルスの累計死亡者数は、現在まで米国は約116万人だが、日本は約7万4千人。静岡県の死亡率は0.16%で、浜松市は0.12%だった。県内の中でも同市の新型コロナに対する対応は比較的順調に進んだと言える。
- 浜松市のワクチン接種体制は、かかりつけ医療機関での個別接種を基本とし、市が設置する接種会場での集団接種と組み合わせ、速やかに実施してきた。これまでに初回接種から82%を超え、中でも高齢者は90%を超えるなど意識の高さがうかがえる。
- 最近注目されているのが、コロナ後遺症だ。特に、コロナ感染1年後のアルツハイマーの発症リスクが非常に高いことが確認さえれている。今後も新型コロナウイルスに対する発症および重症化予防は非常に重要になる。
- 新型コロナ対策は、一時のよう状況でないことは確かだが、医療現場での対応はまだ続いており、今後も患者への対応をしっかりとやり遂げていく必要がある。
- 多くの識者が指摘しているように、今後も感染症は起きるだろう。全世界で広がる可能性は否定できない。従って普段からしっかり準備をしておくことがとても重要だ。
- 新型コロナ対応で、日本は感染レベルを一定程度抑えて、社会、経済のインパクトを最小限度にしつつ、死亡者数をなるべくコントロールするという戦略を採った。また、医療ひっ迫が起きそうな場合に緊急事態宣言や重点措置を出す「ハンマー&ダンス」の施策を行ってきたのが、他国が採った戦略との大きな違いだ。
- 今回のわが国の新型コロナ対応では、結果的に専門家が前面に出てしまい、国の意思決定明確ではなかったのは今後の大きな課題と言える。また、今回の新型コロナウイルス対応の大きな教訓は、感染症が長期化すると国の分断が起きるということだ。分断を解消するには、政治のリーダーシップが必要だ。